SP「木造の建方に注目」

ブログを閲覧いただきありがとうございます。
富士吉田市で大工として住まいづくりをトータルサポートしている梶原建築代表の梶原高一です。

先日も在来軸組みの建て方のお手伝いへ行ってきたので、その前にやったものとの違いをまとめてみたいと思います。

まずは一般的な工法である先日のものを。
この現場は平屋の30坪。
平屋となると大きさの感じ方が変わりますね。

基本は柱を建て、桁や梁などの横架材を架けていきます。

階ごとに組みあがったら、仕口という骨組みの接合部をより一層緊結するため羽子板ボルトなどの金物で締めていきます。

 

ボルトなので端部はナットで締めます。ナット締めは手作業なので時間かかります。かがんだ体制も少し大変、さらにナットをうっかり落とすこともしばしば。
その後に建て起こし(よろび直し)を行い、柱を鉛直にして水平の動きを抑制。

これが終わって水平を火打ちという斜め部材や合板などを打ち付けて固定させます。

小屋組みもパターンがいろいろありますが、この物件は束柱を建てて母屋という横架材を架けていきます。

同様に束柱の鉛直や母屋の通りを確認して、垂木架け、野地板でおおよその屋根ができて完了となります。

この日は、レッカー、大工6人、相番で電気屋さんでの作業、フルに一日やってまとまりました。
カケヤという木ハンマーは結構降り、金物の取り付けも地味に時間を要するので、とにかく屋根をまとめることが大事で、状況に応じてあとでできる作業は省いたりします。
精度の確認作業も大切ですので念入りに行わないと後の作業に影響してきます。
そして、実は大工よりも重要なのはレッカーによる吊り荷作業。
材を無駄なく段取りよく玉掛けする作業員とレッカーのオペ(操縦士)の腕もスピードに反映されます。
これ以降は、柱金物の取付や間柱建て・窓下地を作ったり、筋交いや耐力面材などを施工して窓や玄関の取付、防水紙で巻いてようやく外部の工事が落ち着きます。

 

さて、その前の週に行った建て方は?
こちらは「大型パネル」という外周の壁を工場にてある程度製作してきた状態で建て方を行います。こちらも約30坪。


装備品は最低でも間柱・耐力面材・窓・防水紙まで。外張りの断熱をさらに装備してくることも可能です。

内部は一般と同様に部材ごとの組み立て。ちなみにこの工法は金物工法となるため、仕口や継手は金物となりボルトではなくドリフトピンという金属棒を打ち込みます。
なので、ボルト締めや柱金物を取り付ける必要もなくなります。

階の工事が終わると同じく建て起こしを行いますが、工場製作の為、精度がよく、面材が張られた壁は鉛直がそろってきますので仮筋交いも補助的な感じを受けます。

小屋組みも登り梁を多用。

母屋組と違いこの登り梁(斜め材)を入れると屋根の骨組みは固まり、建て起こしはほぼ不要。その後の屋根ラインの納まりもとても作業がしやすいです。

屋根下地の面を固めてこの日は終了。

二日目は、屋根の垂木パネルから。こちらは垂木の間に断熱材も充填済み。

ここで断熱工事が進む意味は大きいです。通常、屋根や天井面は上向き作業に対して、この場合は下向き作業。というか既に断熱材は施工不要。
断熱工事を経験している方ならこの負担減の意味がよく分かると思います。

ここからは二次防水や通気層の確保をして野地板張りで屋根が完了。


ちなみに、玄関はこの日に取付鍵をかけて撤収。防犯もできるって、とても安心。

前者の工事ならしばらくはブルーシートなどで内部のことが安心できません。

作業人工は同じ納まりではないため比較できませんが、それでも同人数を2日間でこの進捗具合です。
工場で作業している分も既にかかっていますが、現場でつくるのと設備の整った工場でするのではどちらが作業効率・施工精度が高いかわかるかと思います。
新築の建て方が始まると、窓や玄関、防水が終わるまでは大工さんも悠長にしていられません。
また、現場の状況によっては外作業が困難な状況のことも少なくありません。
図面の精度をあげ、つくれるものは効率の良いところでつくる工夫は現場の出来栄えにも大きく影響します。

決して、大型パネルが正解というわけではありませんが、材料・建材が重量化していく中で人力で体を酷使して現場でつくっていくことは大工にとっては大きな問題。
私も年齢を考えるとこの先、根性論のような勢いだとケガの可能性も高く、疲労は隠せません。
経験値を上げるほど効率の良いやり方は身に付きますし、段取のレベルが高くなっていきます。
段取りの集大成こそ、大工の腕と知恵の見せ所のように感じます。
そして、技術力の安心感を住まい手様にも併せて感じ取っていただきたいところかと思います。