SP「建物をみる」

「みる」という言葉は「見る」が基本ベースの漢字にあたりますが、意味合いを強調すると「観る」「視る」「診る」「看る」などの漢字があてられるようです。
日本語は同じ聞こえ方なのに状況に応じて異なった意味合いで漢字を使うから実に奥深いですね。

この頃、読書の時間を少しずつ心掛けるようにしてるのですが、いろんな漢字がでてきて、地味に勉強になります(笑)

我々の仕事目線の「みる」の中でも状態をみるような住宅診断の場合には「診る」という字が相応しいかなと思います。

先日診てきた建物はOB様のお宅と新規相談のお宅。

築11年と築30年です。
どちらも主に外部を中心に。

建物の外部はシェルターの皮として内部を保護するための要素ですから、納め方や状態がとても大事。
状態は紫外線や雨風で日々悪くなっていきます。この劣化の原因は常日頃、あらゆる可能性を頭に入れておかなくてはいけません。

状態確認は主に表面からの判断。


塗装されているものは塗膜の状態を確認。
触って白くなる場合は塗膜切れで、水が浸透する可能性が高くなります。
また、壁のジョイント(繋ぎ目)に使われるコーキング材はその弾力製で建物の動きによるダメージをカバーするのですがも徐々に硬くなり弾力性がなくなると割れはじめて雨水の侵入を許すことになります。
こうなるともはや打ち替えとなります。
塗装工事を早期にする必要があります。

さて、これ以外に納まりが原因になる劣化もあります。
こちらは下屋(げや)と壁の取り合いの様子。

新規相談のお宅でしたが、屋根と壁がピッタリで連続しています。
この状態はいろんな懸念が考えられます。
個人的には以下の点が気になります。

・横葺屋根の重ね部分と壁の接触
・壁の下端と屋根が接している

横葺屋根の場合、水下へ雨が流れながらも重ね部分に水が走る現象が起きます(上から流れてくる水だけでなく、重ね部分で表面張力による水の横移動が起こる)。
こうなると、壁の裏まで雨水が到達する可能性が非常に高くなります。
屋根材は壁の裏で曲げて立ち上げてあるのでしょうが、ここまで水が到達すること自体がリスクが高いです。

そして、壁の下端が屋根と接しているのは壁を伝う雨水の切れの悪さが予想されます。
もしかすると壁の下端から水を吸い上げる可能性も。これも表面張力。

水はお互いを引っ張り合う特性があるので、一度雨漏りすると水道(みずみち)というのができてしまい、どんどん吸い上げる可能性が高まります。
あまり外壁の湿潤状態が続くと内部まで影響するため、なるべく乾燥しやすい納まりに改善するべきかなと思っています。

劣化の原因は表面からの判断だけでなく裏側の納まりの予測など複合的に考えて導き出す必要があります。
これも日頃の観察や経験がものをいいます。
私にとってもまだまだ未知の劣化事象はありますが、こればかりは他社の失敗談を活用したり観察の場数をこなすしかありません。
ただ、少しでも劣化状況を悪化させないよう、皆様の建物の価値を維持することに貢献できるよう今後の物件でも注意深く診ていきたいと思います。