甲斐のエスネル 構造見学会を振返る

こんにちは。
富士吉田市で木造住宅を手掛ける大工、梶原建築、梶原高一です。
久しぶりのまとめブログです。

現在工事中の山梨県甲斐市での新築住宅「甲斐のエスネル新築工事」。
新潟県柏崎市の住宅設計エスネルデザインの村松さんの設計による住宅になります。

弊社としてはお施主様から施工をご依頼いただいて対応させていただいております。

現在の外観は概ね完了でこんな感じ。

シンプルでいつまでも味わい深い杉板外壁です。素材が無くなることもまず考えにくい自然素材ですね。

内観はこんな感じ。

外とは違い、まだまだ下地が終わっておりません(-_-;) 写真は少し前なので現在はもう少し進んでおります。

さて、先日は仕上がってからでは見ることができない部分をお見せする構造見学会を開催しました。
もちろん、一般のお客様を主体にご招待しました。


どうしても完成形に目が行きがちですが、どのようにつくっているか、内装の奥はどうなっているのかを知ってもらうことは高額な費用をかけていく上で理解しておく必要があります。
ご来場くださったお客様におかれましては、実物を見ること、体感することで、多少なりともご理解いただけたかと思います。引き続き、すまいづくりに役立てていただければ幸いです。

 

さて、今回はもう一つ目玉イベントを企画しました。
それは、学生のための構造見学会です。
今年の3月に八ヶ岳エコハウス「ほくほく」でのイベントで甲府工業高校の専攻科建築科の先生・生徒と出会い、そこからの延長で本イベントを実現することができました。

建築業界は、人口減で職人不足も深刻になってきています。
それにはたくさんの理由があると思っています。
業務的にグレーな部分が結構あったり、人によっては思っていたこととの食い違いにぶち当たって不満が募ったり。
賃金や報酬の問題も重要です。
諸先輩方の苦労の上でつくられてきたこの業界も、少しずつ変えていかなくてはいけないこともたくさんあるように感じます。
そんな、ネガティブな話はさておき、これから世に出ていく新しい世代には、建築の価値をしっかり見極め、自分がどんな建築に関わりたいのかを知るための機会として、何か役に立てたらということで、私が企画させていただきました。

目玉としては、建築中の一般住宅を見学できるということ。
特に一般的な住宅と少し違う点も多い、高基礎や超高断熱の仕組み、木製の外壁などなど。

まずはこの企画に賛同してくれたお施主様の御理解に大変感謝してます。

設計者の村松さんは柏崎から駆け付けてくれ、自身も伝えたいこと(設計のこと・人生観などなど)をたくさん披露してくれました。
本当に自分に芯をもった素晴らしい方だと思います。
村松さん、ありがとうございました。

建築に携わると、建物ができていくまでの過程はいろんなドラマがありますし、変化していく様子はその時しか見られません。
設計の意図、施工内容などを知ると、天井知らずで興味の尽きない世界だと思います。

そして、必ずつくられた建物には「価値」というものがセットで上乗せされてきますね。

甲府工業の専攻科の皆さんは定時制のため、日中はお仕事、夜は学業というハードな生活を送っています。
すでに建築に関わる仕事をされている学生さんもいらっしゃいました。
とても頭が下がります。
学校案内はこちら → 専攻科建築科 | 山梨県立甲府工業高等学校定時制 (kai.ed.jp)
卒業と同時に一級建築士の受験資格が取得できるレアな学校です。

私は一般的な普通科の高校を卒業し、両親の協力で大学に進学こそできましたが、
建築へ進んだのも、その当時は漠然とした思いだけでした。
家業が大工だったこともあり、何かをつくるということには魅力を感じていましたが、将来の仕事として納得して今の状況に至るには、だいぶ時間がかかったなと振り返ります。

どんな職に就くにしても、知ること、見ること、経験して感じることの積み重ねが基本です。

学生の皆さんにとってこれからの将来に少しでもお役に立てたら、企画サイドとしてはこんな嬉しいことはありません。
参加者の皆様、ご参加ありがとうございました。
竣工見学会は7月の中旬から下旬を予定してますので、構造の時との変化を比べてみてほしいと思います。

 

~追記~

学生枠の見学会時に地元紙・山梨日日新聞の記者さんが取材に来てくれました。
翌日4/24に記事は掲載されています。
新聞に自分のことが書かれるのはとても光栄なもので、「ほくほく」のオーナー斎藤健一郎さん(朝日新聞の記者)にも読んでいただいたところ、
「この記事とても良く書けているよ。いい記者だよ。僕はこんな風に書けないよ。」と絶賛してくれました。

取材依頼がきたこと・記事にしてもらえたことは、お施主様の協力、遠方の設計士からのレクチャーという内容に加え、甲府工業高校の先生方のお声がけで10名を超える参加者になったこと、そして、この取り組みを知ってくれたお客様の情報提供のおかげです。

私も企画していながら、どんな展開になるか不安と緊張でいっぱいでしたが、設計者と施工者のダブル共演に興味をもってもらえたのかなと。

参加者からは感想もたくさん届き、「建築中を見れるのはとても貴重」「授業の設計課題の参考になる」や「こんなところもみれると良かった」など、手応えを感じることができ、伝える側としても良い勉強になりました。

また、学生さんと繋がる機会をつくれたことも大きな収穫で、今後、この逸材達と建築業界を盛り上げるきっかけになればいいなあと、今の目標のひとつになりました。